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手のひらSTORY

VOL.04

四角つなぎジャカード

テキスタイルデザイン ..... matohu 堀畑裕之
テキスタイル制作 ..... JAM
素材 ..... コットン 67% ウール 33%

制作ストーリー

matohuのニット地を編んでもらっているのは、いつも2カ所になります。ひとつは「一着のリレー」コレクションでご紹介した、浅草の川邊メリヤス。上質な無地のニットが得意です。そしてもう一軒がJAMの岡本仁さん。岡本さんは、直接工場をもっているわけではありません。生地の企画をして、手配先の工場にお願いする「生地屋さん」です。
岡本さんにはmatohuのごく初期の頃から、ジャカード編みを作ってもらってきました。どんな難しい注文も、いろいろ工夫してくれます。

上の写真は’09 春夏「辻ヶ花」コレクションの長着。ピンク色の落ち葉柄です。モデルのタオさんは、今や世界的なモデル&女優になられました。東コレにもよく出てくれました、懐かしいですね。

さて今回の柄は、堀畑が「ぬくもりのある幾何学モチーフ」を作りたい!と言ってデザインしたものです。ふつうはグラフィカルになる幾何学柄を、あえて柔らかな感じにするには?! では、その制作ストーリーをご紹介します。

まずは今回も「カッター描法」! 出ました、デザイナーの得意技です(笑) カッターで直接描きながら図柄を切り取っていきます。こうすることで手の個性を消して、「紋様化」されるそうなんです。

フリーハンドで切り絵をしていくと、直線的にならずに柔らかなゆらぎが生まれます。

四角をつないでいくために、さらにもう一度ずらしてカットしていきます。ラインはほとんど即興的だそうです。意識すると、模様が固くなってしまうとのこと。柄が踊って楽しげですね。

2色の四角を描いて、これに最後は「送り」をつけていきます。「送り」とは、上下左右つなげると無限に広がっていくようにすること。確かによくみたら柄が全部つながりますね!ここは繊細な作業です。

この柄をウールの「ループ糸」で作ることに。よくみると糸がクルクル巻いていますね。ふわふわして暖かそう!ループ糸を使うことで、よりぬくもりのある幾何学柄になるそうです。

無地のグランド部分は、コットンの糸を使うことで肌触りが良く、チクチクしない軽ろやかな生地になりました。素肌に着るとコットンの優しさ、保温力はウールの暖かさ。いいとこ取りです(笑)。

なんと今回はプルオーバーだけではなく、裏地にたっぷり贅沢に使ったジャケットも作りました。内側が暖かいだけでなく、チラリと見えるのも「いき」です!

ぬくもりのある幾何学柄のテキスタイルが生まれました。ぜひこの秋にまとってみてください!