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世にも不思議な、美しい花の本が生まれました。
誰かにいけ花を習ったこともなく、ましてや花を仕事にしているわけでもない。並木幸男さんはたった一人で6年間、群馬の山奥に自生する草花を生けてきました。
ただ一人、この花を見続けた人がいます。東京南青山の李朝古美術店「梨洞」の李鳳來さん。並木さんは「梨洞」で器を買い、花を生けて写真を撮り、李さんに見せるためだけに毎週群馬から通ったそうです。
ある日、李さんにこの写真を見せられた花人の川瀬敏郎さんは、驚きました。まるで中世にいけばな藝能が生まれた頃のような、うぶな美しさだったからです。なんらかの形で本に残してはと薦めたたそうです。
それを輪島の出版社「拙考」の編集長で、上海からきた張さんが、一途な情熱をもって本にしました。限定800部。
書名は『初心の花』。
能楽を大成した世阿弥の著書『風姿花伝』の一節からとられたタイトルは、まさに並木さんの花そのものです。花から「花」を習われた人なのでしょう。どの花の写真をみても、てらいのない、清々しい、胸をすくような花が立ち現れます。
本を開くたびに、風にそよぐ花の姿があります。すでにこの世から消えた花たちの委託が、写真としてこの世界にとどめられています。
そんな世にも不思議な、美しい花の本。いつも座辺に置きたい1冊です。
花人 川瀬敏郎氏 (本文より抜粋)
自然に恵まれた近辺の山野で採られた一木一草一花はカミの気配を宿していて息を呑みました。花は採集時にすでにいけられていて、単刀直入にズバリと大胆にいけられた花には迷いがありません。並木さんのいける手筋は感じるものの、いけた手技、手垢を感じさせず、花そのものが自ずとうつわに鎮まったかのような、たとえようのない臨場感があり、中世の芸能誕生時の花姿を彷彿とさせました。その上いけられた花の全てに、いけばなの規矩が具わっていることに瞠目しました。生の素人の花では稀なことです。
書籍 『初心の花』
¥9,680(税込)
初心の花
花・写真/並木幸男
文/川瀬敏郎、李鳳來
発行 : 拙考(有限会社ぬりもの)
企画+編集:
装丁:サイトヲヒデユキ
翻訳: Ben Davis(英語)、(中国語)
印刷:八紘美術
製本:博勝堂
発売日: 2025年2月12日
部数:限定800部
縦28.6cm、横21.6cm、厚み2cm。 159頁
- システム商品コード
- 000000000776
- 独自商品コード
- MZ-G56-631
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