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手のひらSTORY

VOL.06

本藍染

テキスタイル制作 ..... AZ Textile
藍染(3ヶ所) ..... 古庄染工場|壺草苑|BUAISOU.
素材 ..... (表)シルク 54%
(裏)コットン 46%

制作ストーリー

「え、藍染? あの青色の染物ね。わかりますよ、浴衣とか手ぬぐいとかの…」

藍染は今もポピュラーな染めのようですが、その希少さや本当の制作工程、魔法のような魅力を知っている方は案外少ないようです。

 藍染とはタデアイという1年草の葉っぱが原料の草木染めです。奈良時代から続く伝統染色で、江戸時代になって発酵染めが定着しました。明治時代に化学染料が輸入されるまで、日本人が最も愛した染色でした。戦後は急激に衰退して、一度ほとんど絶滅しかけました。

 徳島県では、いまもタデアイを畑で育てて、藍染の原料の「すくも」を作っている職人さんがわずかに残っています。みなさん藍染の伝統を守りたいという熱い思いがあります。

 ところで藍染には2回発酵が必要だとご存知ですか?
まずタデアイを刈り取って乾燥させ、水をかけて何度も混ぜ合わせて3ヶ月。土の塊のように発酵させます。これが「すくも」です。

 この「すくも」を藍がめに入れて、そこに灰汁(あく)(アルカリ性の水)と貝灰、小麦の皮などをいれてかき混ぜます。いわゆる染料液をつくるのです。1週間ほどかき混ぜていると、発酵してぶくぶく泡が出てきます。これが2回目の発酵です。微生物の力でここまできて、やっと布や糸が染められます。

 化学的なものを全く使わない「天然灰汁発酵だて本藍染」は、じつは希少です。いま「藍染」をうたっている染め物でも、注意しないと化学染料と混ぜていたり、ハイドロという薬品で人工的に発酵させるところが多いのです。そういう「藍染」は匂いもきつい。「天然灰汁発酵だて本藍染」の製品は、ほとんど匂いがありません。

 その独特の深い色合いや、職人技など本藍染の魅力はたくさんありますが、matohuでは特に以下の二つを大切に思っています。

1つめ … 本物のサスティナブルであること

1年草のタデアイの葉から天然の材料だけで染める藍染は、毎年繰り返しても環境を痛めません。染液はそのまま土や川にも流しても、自然にかえります。そして「すくも」作りも、発酵染めの方法も、何百年も続く伝統が脈々と持続してきたものです。まさに実証済みのサスティナビリーなのです。
 これを愛し、使い続けることで、私たちもこのサスティナビリテーに参加することができるのです!

2つ目 … 肌を通して伝わってくる何かがある

 これは実際に着てみて、実感したことです。なにかに守られているような、心がすっと落ち着いてくるように感じます。植物の命のかけらが、繊維の上に宿っているからでしょうか。一度藍染の服を着てしまうと、他の服と感じが全く違うのです。もちろん感覚は人さまざまですし、証明できるものではないかもしれません。しかし本藍染の本当の魅力は、ここにあるのではないか? 私たちはそう思っています。

 実際に体験して、ぜひご自分で本藍染の魅力を発見してみてください!

タデアイの種。約1〜2mmです。

BUAISOU. 作業風景